離乳食、スプーンかBLWか — なぜ『どちらか』ではないのか
離乳食はスプーンでのペースト食かBLW(赤ちゃん主導の手づかみ食べ)か、どちらか一方を選ぶものだと思われがちですが、厚生労働省の授乳・離乳の支援ガイドも両者を対立させてはいません。仕組みの違いと、月齢ごとの進め方、安全に取り入れるための具体的なポイントをあわせて紹介します。

離乳食を始めるとき、「スプーンでペースト状のものを与える従来の方法」か「赤ちゃんが自分の手で食べ物をつかんで食べるBLW(Baby-Led Weaning、赤ちゃん主導の離乳食)」か、どちらかを選ばなければいけないような紹介のされ方をよく見かける。しかし実際には、厚生労働省の「授乳・離乳の支援ガイド」もどちらか一方を推奨しているわけではなく、多くの家庭では赤ちゃんの発達や食事の状況に合わせて両方を組み合わせている。
親が誤解しやすいこと
最も広まっている誤解は、「BLWは窒息のリスクが高く、従来のスプーン食べのほうが安全」という単純な対立構造だ。実際には、窒息のリスクは方法そのものより、食べ物の形や大きさ、大人がそばで見ているかどうかに大きく左右される。スプーンでの食べさせ方でも、食べ物を口の奥に入れすぎたり、子どものペースを無視して次々と口に運んだりすれば、詰まりやすくなる点は変わらない。
もう一つの誤解は、「どちらか一方に決めなければならない」という思い込みだ。実際には、最初はスプーンでペースト状のものから始め、手づかみできる硬さの食材が食べられるようになってきたらBLW的な要素を少しずつ取り入れる、といった組み合わせ方をする家庭が多く、途中で比率を変えても問題があるわけではない。
厚生労働省の考え方と実際の進め方
離乳食を始める目安は生後5〜6ヶ月頃とされているが、月齢そのものより、首がしっかりすわっている、支えがあれば5秒以上座っていられる、スプーンを口に入れても舌で押し出すことが少なくなる、食べ物に興味を示すといった発達のサインのほうが重視されている。進め方の目安としては、生後5、6ヶ月頃はなめらかにすりつぶした状態を1日1回、生後7、8ヶ月頃は舌でつぶせる固さのものを1日2回、生後9〜11ヶ月頃は歯ぐきでつぶせる固さのものを1日3回というように、段階的に固さと回数を上げていく形が示されている。
BLWは日本ではまだ従来の離乳食ほど一般的ではないが、赤ちゃんが自分の意思で食べ物を選び、自分のペースで食べる経験ができる、手指の発達につながるといった点が紹介されており、専門の団体を通じて少しずつ知られるようになってきている。一方で、手づかみできる硬さや大きさに調理する必要がある分、進め方には従来の離乳食以上に注意が必要だ。
実際に進めるときのポイント
BLWを取り入れる場合は、指の長さ・太さ程度に切った、指でつぶれるくらいまで柔らかく加熱した野菜や果物から始めるのが基本になる。丸のままのブドウやミニトマト、ナッツ類、ポップコーン、硬い生野菜、大きなかたまりのピーナッツバターなど、喉に詰まりやすい形状・硬さの食べ物は避け、必ず座った姿勢で、食事の間は目を離さないようにする。これはBLWに限らず、スプーンでの離乳食を含めたすべての食事に共通する基本だ。
スプーンでの離乳食を中心にする場合も、厚生労働省の目安通りに一気に固さを上げるのではなく、赤ちゃんの飲み込み方やえずきの様子を見ながら、無理のない範囲で少しずつ進めるとよい。どちらの方法を選ぶ場合でも、新しい食品を試すときは少量から始め、赤ちゃんの体調や機嫌の良いときに与えるようにすると、何かあったときの原因を特定しやすい。離乳食の進め方やアレルギーが心配な食品について迷うことがあれば、自己判断で進めずに小児科医に相談しながら決めていくことをおすすめする。
よくある質問
スプーン食べとBLWを同時に進めても大丈夫ですか? 問題ない。実際に多くの家庭で、ペースト状のものはスプーンで、手づかみできる柔らかい野菜や果物は自分で食べさせるという形を並行して進めている。
BLWはいつから始められますか? 支えがあって5秒以上座っていられる、手に持ったものを口まで運べるなど、離乳食を始める目安となる発達のサインが整っていることが前提になる。始める時期や進め方に不安がある場合は、月齢だけで判断せず、小児科医や地域の保健師に相談しながら進めると安心だ。
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