新生児の鼻づまり:それは本当に風邪なのか?
新生児が授乳中にフガフガと鼻を鳴らしていると、風邪をひいたのではと心配になる親は多い。しかし新生児の鼻づまりの多くは、狭い鼻腔という体の構造によるもので病気とは限らない。見分け方と自宅でできる具体的なケア、小児科を受診すべき目安までを整理してわかりやすく解説する。

授乳のたびにフガフガ、ズビズビと鼻を鳴らす新生児を見ていると、風邪をひいたのではと心配になる親は多い。落ち着いた反応だが、生後数ヶ月の赤ちゃんに関しては、その音だけで「風邪」と判断するのは早計なことがほとんどだ。新生児の鼻づまりの多くは病気のサインではなく、体の構造上ごく普通に起こる現象で、実際より詰まって聞こえていることのほうが多い。
「鼻がフガフガ=風邪」という思い込み
大人や年長の子どもであれば、鼻づまりは風邪の代表的な症状のひとつなので、新生児でも同じだろうと考えるのは自然な発想だ。しかし発熱もなく、機嫌も普段どおりで、哺乳量も落ちていない新生児がフガフガと音を立てているとき、それは体調不良というより、ただそういう音がする月齢だという場合が多い。毎回の授乳のたびに「また風邪をひいたのでは」と身構えていると、実際には何も起きていない日々まで心配し続けることになりかねない。
見分けるポイントは、音そのものより「ほかに何があるか」だ。風邪であれば、鼻の音に加えて、いつもと違うぐずり方、哺乳量の変化、発熱、日を追うごとに悪化していく経過などが重なって現れることが多い。一方、新生児にありがちな生理的な鼻づまりは、良い日も詰まって聞こえる日もありながら、哺乳・睡眠・機嫌といった普段の様子には変化がないまま、数週間にわたって同じような調子で続くのが特徴だ。
なぜ新生児の鼻はこんなに詰まりやすいのか
新生児の鼻腔は驚くほど狭く、大人の指先すら入らないほどの太さしかない。加えて、生後数ヶ月の赤ちゃんは鼻呼吸が優位で、授乳中に吸う・飲み込む・呼吸するという動作を鼻で呼吸しながら同時にこなす必要がある。この構造のため、大人であれば気づかない程度のわずかな鼻水や乾燥でも、新生児にとっては通り道が狭くなって大きな音として現れやすい。大人の鼻腔なら何の音もしないはずの詰まり具合が、新生児では明らかに聞こえる音になる、というわけだ。
この音が一日の中でも変わりやすいのはこの構造のせいでもある。仰向けで寝ている時間が長かったり、室内の空気が乾燥していたり、少し前まで泣いていたりするだけで、鼻の粘膜のうるおい具合が変わり、時間帯によってフガフガの程度が変化する。病気が良くなったり悪くなったりしているわけではなく、単に構造上そうなりやすいだけのことが多い。
自宅で実際に役立つケア
市販の生理食塩水の点鼻薬を数滴垂らし、鼻吸い器でやさしく吸い取るのが、手間が少なく効果も実感しやすい定番のケアだ。授乳の直後より、授乳の少し前に行うほうが、鼻が通った状態で飲みやすくなる。加湿器で室内の湿度を保つことも、鼻の粘膜が乾燥しにくくなるため助けになる。加湿器は赤ちゃんの手が届かない位置に置き、水は毎日交換し、フィルターやタンクを清潔に保つことが前提になる。こまめに授乳の回数を増やして水分をしっかり取らせることも、鼻水がねばつきにくくなり、自然に排出されやすくなる助けになる。
一方でやってはいけないのが、鼻づまりを楽にさせようとタオルやクッションで上体を傾けて寝かせることだ。傾斜をつけた寝かせ方や、ウェッジ・傾斜型の寝具は、鼻づまりの有無にかかわらず安全な睡眠環境とは言えず、日本小児科学会をはじめとする専門機関が推奨する「あおむけ・かたい平らな寝床」という基本は、鼻がフガフガしている日も変えるべきではない。市販の風邪薬・咳止めもこの月齢の赤ちゃんには適さないため、生理食塩水と鼻吸い器以外の薬を使う前には、必ずかかりつけの小児科医に確認することをおすすめする。
小児科を受診すべきサイン
次のような様子があれば、いつもの生理的な鼻づまりと決めつけず、かかりつけの小児科医に相談したほうがよい。呼吸のたびに肩や胸、お腹が大きくへこむ、ゼーゼー・ヒューヒューという苦しそうな呼吸音がする、唇や顔色が青白く見える、哺乳量が普段の半分以下に減っている、授乳中に息継ぎのために何度も口を離す、ぐったりして元気がない、といった様子は、体の構造による鼻づまりの範囲を超えているサインだ。特に生後3ヶ月未満の赤ちゃんに37.5度以上の発熱がある場合は、鼻づまりの程度にかかわらず、様子を見ずにすぐに小児科を受診することが重要とされている。迷ったときに一般的な情報だけで判断せず、かかりつけの小児科医に確認できるのが何より確実だ。
よくある質問
加湿器は毎晩使っても大丈夫ですか?問題ない。ただしタンクやフィルターを清潔に保ち、水を毎日交換することが前提になる。手入れを怠るとカビや雑菌が繁殖し、かえって呼吸器に良くない影響を与えることがある。
寝かせているときのほうが鼻の音が大きく聞こえるのはなぜですか?あおむけで寝ている間は鼻の粘膜に鼻水がたまりやすいため、起きて縦抱きにしているときより音が大きく聞こえやすい。これは体の構造上よくあることで、それだけで体調が悪化しているとは限らない。心配な様子が続く場合は、かかりつけの小児科医に相談してほしい。
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