赤ちゃんが耳を触るのは乳歯のせいとは限らない
赤ちゃんが耳を触ったり引っ張ったりする仕草は、乳歯が生えるサインとは限らない。実際には乳歯・中耳炎・単なる癖という三つの原因が考えられ、それぞれ見分け方が異なる。発熱や耳だれなどのサインと、小児科を受診すべきタイミングをわかりやすく解説する。

赤ちゃんがしきりに耳を触ったり引っ張ったりする様子を見ると、まず「歯が生えてきているのかな」と考える親は多い。乳歯が生え始める時期と、赤ちゃんが自分の体を触って遊び始める時期が重なることが多いため、そう考えるのは自然なことだ。ただ、耳を触る仕草の背景には乳歯以外の理由も少なくとも二つあり、そのうちの一つは受診が必要なサインでもある。三つの違いを知っておくと、実際に赤ちゃんが耳を触ったときに落ち着いて判断しやすくなる。
親が誤解しやすいこと
耳を触る仕草を見て「乳歯のせい」と決めつけてしまうのは無理もない。生後半年前後は乳歯が生え始める時期であると同時に、赤ちゃんが自分の耳や髪、おへそといった体の部位を発見して触るようになる時期でもあるからだ。だが実際には、耳を触ったり引っ張ったりする行動には乳歯・中耳炎・単なる癖という三つの異なる原因があり、乳歯はそのうちの一つに過ぎない。三つをまとめて「歯のせい」として様子を見てしまうと、本来なら受診が必要な中耳炎のサインを見逃すことになりかねない。
耳を触る本当の理由は三つある
中耳炎は、風邪をひいた後に続いて起こることが多い。鼻水が続くと鼻と耳をつなぐ耳管に炎症が広がりやすく、中耳に液体や膿がたまって圧迫感が生じる。日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会の解説によれば、乳幼児は痛みをうまく訴えられないため、機嫌が悪くぐずったり耳をよく触ったりする様子が中耳炎のサインとして現れるという。日本医師会の子ども向け診療案内でも、機嫌の悪さや耳を触る・甘える行動が中耳炎を疑うきっかけとして挙げられており、黄色く粘り気のある鼻水が続くときは中耳炎を合併していることが多いとされている。同学会の解説では、2歳未満は特に中耳炎を繰り返しやすい年齢とも説明されている。
乳歯による耳への違和感は、仕組みが少し違う。あごや歯ぐき周辺の神経は耳の近くを通っているため、奥歯が生えてくるときの痛みが、赤ちゃんには耳から来ているように感じられることがある。実際には耳の中に何の問題もないのに、手が耳に伸びてしまうわけだ。この場合はよだれが増えたり、手や物をかんだりする様子が同時に見られることが多く、発熱があっても微熱程度にとどまる。

三つ目は単なる癖だ。生後半年前後になると、赤ちゃんは自分の体が触れる対象だと気づき始め、耳や髪、おへそなど手が届く部位をよく触るようになる。この場合は機嫌もよく、食欲や睡眠もいつも通りで、手持ち無沙汰なときに耳を触っているだけ、ということが多い。
中耳炎の可能性が高いサイン
- 発熱を伴っている
- いつもよりぐずりがひどく、あやしても落ち着かない
- 耳に触れると痛がって泣く
- 耳から黄色っぽい分泌物・耳だれが出ている
- 呼びかけへの反応が鈍い、音への反応がいつもと違う
- 直前に風邪をひいていた、鼻水が長引いている
ただし、これらのサインだけで中耳炎かどうかを親が確定させることはできない。中耳炎は鼓膜の状態を実際に診てもらわなければ確認できないため、発熱や痛み、耳だれといった様子が一つでも見られたら、様子を見すぎずに小児科や耳鼻咽喉科を受診してほしい。特に症状が1日、2日たっても改善しない場合や、悪化していく場合はなおさらだ。
よくある質問
両耳を触っていても中耳炎の可能性はありますか?両耳を同時に触っている場合は、中耳炎よりも乳歯や癖によることが多い。中耳炎は片方の耳だけに起こることが一般的だが、絶対に両耳に起こらないわけではない。
乳歯の時期と中耳炎が重なることはありますか?ある。乳歯が生え始める時期は1歳前後に集中しやすいため、たまたま中耳炎の時期と重なることも珍しくない。「今は歯が生えている時期だから」という理由だけで様子を見続けないことが大切だ。
次に赤ちゃんが耳を触っているのを見かけたら、まず自分に聞いてみてほしい。発熱や機嫌の悪さ、耳の痛みといった他のサインは一緒に出ていないだろうか。それとも赤ちゃんはいつも通り元気で、ただ手持ち無沙汰に耳を触っているだけだろうか。判断に迷うときは、自己判断で乳歯のせいと決めつけず、かかりつけの小児科医に相談するのが一番確実だ。
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